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学習院マネジメントスクール新年度、「酒類安売り規制」に物申す

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7年前の今日。
2008年4月17日、
商人舎発足の会が開催された。

思い出すだけで、
身が引き締まる。

今日は1日、
横浜商人舎オフィス。

今週はあっちこっち出かけて、
ちょっと疲れ気味。

午前中は、
学習院マネジメント・スクールから、
湯沢威名誉教授と、
事務局のおふたりが来社。
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中央が事務局長の林純子さん、
右が研究員の山中寛子さん。

学習院マネジメント・スクールは、
故田島義博学習院大学院長が、
2001年に創設。
15年の歴史を持つ。

その構想は、
「日本の企業と産業界の再活性化に
教育を通じて貢献する」

特に流通業界を対象にするのが、
DSCM基礎コース。
ディマンド&サプライチェーン・マネジメント、
つまり需要から供給までの
連鎖的横断的マネジメント。

私は2007年秋から講師を務め、
今年も第一講座で「流通概論」を講義する。

今年度は、
6月から11月までの全13講座。
定員25名で受講料は、
19万5000円。

特にバイヤーやバイヤー候補には、
必須の講義テーマばかり。

それらを一流講師陣が、
熱を込めてレクチャーする。

今日、湯沢先生を始め、みなさんが、
来年度からさらに内容を充実させるべく、
ご相談に来られた。

私は率直に意見を言った。
提案もした。

今期ももちろん、
楽しみな講座だ。

午後には、
商人舎magazineのWeb会議。
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右からWebコンサルタントの猪股信吾さん、
㈱プラージュのシステムエンジニア久田裕子さん、
facebookコンサルタントの内田憲一郎さん。

ゴールデンウィークの連休明けに、
商人舎公式ホームページも、
商人舎magazineサイトも、
リニューアルをする。

何度目だろうか。
日々、改善、
日々、改革。

このメンバーはそれに、
確実に応えてくれる。
あいがたい。

その甲斐もあって、
紙の月刊『商人舎』4月号は大好評。
もう在庫がなくなった。

今月の特集は、
「ネットスーパー! 移動スーパー!!」

昨日の朝、私の携帯に電話があった。
㈱大木代表取締役会長兼社長の松井秀夫さん。
この特集を随分と褒めていただいて、
すぐに100部、お買い上げ。

ありがたい。

夕方からは、
外山順一郎さん、来社。
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立教大学大学院の結城ゼミ3期生。
㈱大和屋代表取締役社長。
東京日本橋の鰹節専門店。

『だしを味わう四季の料理』に、
にんべん、山本海苔店とともに、
大和屋が紹介されている。
はらゆうこ著・マガジンランド刊。

私はA4用紙に2枚、
外山さんに言葉を贈って、
健闘をたたえ、激励した。

さて、自民党の財務金融部会。
今国会に議員立法で、
酒税法などの改正案を提出する。
酒類安売り競争に歯止めをかけるという目的。

私は㈱商業界の編集長時代、
『明日を切り拓く酒販店』や、
『酒販マーケティング』などの雑誌を、
責任編集していた。

だからこの分野にも、
一定の見方を持っている。

この法案は、納得できない。

日経新聞の社説のタイトル。
「この安売り規制では
町の酒販店を救えない」

「財務相の示す基準を守らない安売り店は、
販売免許を取り消すこともあるという内容。
小規模な店の保護を目的に掲げるが、
この法案には問題が多い」

具体的には、
「酒税法を改正し、
注意しても安売りをやめない店は
まず名前などを公表する。
効果がなければ罰金を科したり、
免許を取り消したりできるようにする」

各地の一般酒販店は、
ずっと「安売り」への規制強化を訴えてきた。
その先頭に立つのが、
全国小売酒販組合中央会。

しかし最近はさらに、
大手ネット通販会社が酒販免許を取得し、
宅配に乗り出している。

つまり一般酒販店は、
安売り店とネット企業の両方から
攻勢されている。

その声を反映して、
自民党の議員立法が出てきた。

しかしまず、
「自社が掲げる安値が経営努力の結果か、
それとも不当な乱売か、
証明や線引きが難しい」

もちろん不当廉売防止には、
独占禁止法がある。

これは世界共通のルール。

「もともと酒類には、
製造、販売、サービスなどで規制が多い」

かつては既存の酒販店を保護し、
酒税の安定した賦課徴収を図るために、
新規参入者に対して厳格な制限が課されていた。

だから総合スーパーもスーパーマーケットも、
さらに酒販店から転換した店以外のコンビニも、
酒を販売することができなかった。

しかし、1998年3月に、
規制緩和推進3カ年計画が設定され、
2001年1月に距離基準が廃止。
2003年9月には人口基準が撤廃。

この時点で、酒類販売は、
事実上、自由化された。

今回は、突然のごとく、
議員立法の「安売り規制」。

もともと酒販免許の自由化は、
消費税導入の裏返しだった。

だから酒税法の規制は、
逆に消費増税の先延ばしを意味するのかもしれない。

日経新聞の社説は言う。
「地方企業や小売店による独自の酒の開発など、
挑戦を後押しする方が長い目で見て
市場は広がる」

つまり安売り規制では、
市場は成長しない。

「タクシー業界への規制強化など
最近、競争を排除する動きが目立つ」

アベノミクスの矛盾。

「しかしイノベーションを生むのは
規制の強化ではなく
緩和や撤廃である」

当然。

「市場競争を通じ
消費者の利便性や満足を高めなければ、
経済の成長も企業の存続もない」

酒類のDSCMを考えると、
規制強化は当然ながら、意味がない。

〈結城義晴〉


鹿島茂編訳『パスカル パンセ抄』を読んで、考える葦になる

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こんな本を書きたいと思います。
『パスカル パンセ抄』。

原著者ブレーズ・パスカル。
編訳者・鹿島茂。
出版社・飛鳥新社。
2012年7月14日初版。

ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)は、
フランスの哲学者、数学者・物理学者。
1623年6月19日に生まれ、
1662年8月19日に、
39歳で早世。

死後、遺稿が『パンセ』として出版されました。

前書きで鹿島さんは語ります。
「ポスト・モダンどころか
ポスト・ポスト・モダンの時代に
突入したいまの日本社会
直面している問題のことごとくが
正面から取り上げられ、
考えに考え抜いた末に出した、
目を背けたくなるほど直截的な解答が
あたえられている」

「『パンセ』は350年の時空を飛び越えて、
われわれ現代日本人が抱える問題意識に迫る」

そのパスカルの言葉。
第7章「職業と選択」。

「一生のうちでいちばん大事なのは、
どんな職業を選ぶかということ、これに尽きる。
ところが、それは偶然によって左右される。
習慣が、石工を、兵士を、
屋根葺き職人をつくるのだ」
〈断章九七〉

そして続けます。
「人間は屋根葺き職人だろうとなんだろうと、
生まれつき、あらゆる職業に向いている。
向いていないのは、
部屋の中にじっとしていることだけだ」
〈断章一三八〉

「習慣の力というのはじつに偉大なものであり、
自然が人間というかたちでしかつくらなかったものから、
ありとあらゆる身分や職業の人間を
つくりあげるのである」
〈断章九七〉

商人という職業を選んだのは、
実は偶然なのです。

野球選手も、音楽家も、
学者も、ジャーナリストも、
習慣と偶然によって、
その職業に就く。

人間は生まれつき、
あらゆる職業に向いている。

習慣がありとあらゆる身分や職業を、
つくりだすのです。

「人は精神を自分でダメにするように、
直感も自分でダメにすることがある。
人は精神と直感を会話によって鍛え上げるが、
会話によってダメにもする。
良い会話は精神と直感の鍛え上げに役立つが、
悪い会話はこれらをダメにするのに役立つ」

良い会話、悪い会話。
良い講義、悪い講義。
良いセミナー、悪いセミナー。
そして良いコミュニケーション、
悪いコミュニケーション。

「従って、どんな場合でも、
鍛え上げるかダメにするかは、
正しい選択を知ることにかかっている。
だが、そうした正しい選択を行うには、
すでに鍛え上げに成功していなくてはならない。
かくて、話は循環論法に陥る。
そこから脱出できる人は幸せである」
〈断章六〉

数学者でもあるパスカルは、
論理的です。

第9章は「褒められたい」。

「わたしたちはひどく思いあがった存在だから、
全世界の人から知られるようになりたい、
いや、自分たちがこの世から消えたあとでさえ、
未来の人に知られたいとおもっている。
それでいながら、自分の周囲の
五、六人の人から尊敬を集めれば、
それで喜び、満足してしまうほどに、
空しい存在なのだ」
〈断章一四八〉

「虚栄というものは人間の中に
非常に深く錨(いかり)を降ろしている。
だから兵卒も、料理人も、港湾労働者も、
それぞれに自慢ばかりして、
賛嘆者を欲しがるのだ。
さらに哲学者たちも、
称賛してくれる人が欲しい。
また、そうした批判を書いている当人も、
批判が的確だと褒められたいがために書くのだ。
また、その批判を読んだ者も、
それを読んだという誉れがほしいのである」

「そして、これを書いているわたしですら、
おそらくは、そうした願望を持っているだろう。
また、これを読む人だって・・・・・・」
〈断章一五〇〉

パスカルは、謙虚です。
天才は謙虚なのです。

「好奇心とは、じつは虚栄心にほかならない。
たいていの場合、
人がなにかを知りたいと思うのは、
あとでそのことをだれかに
話したいと感じているからなのだ」

う~ん。
鋭い。

自分の内側に入り込んで、
モノを考え抜いている。

「誇りというものは、悲惨や誤謬のなかでさえ、
いとも自然にわたしたちをとらえている。
そのため、あとで
人の語り種(ぐさ)になるという条件さえ整えば、
みな喜んで命を投げだすことになるのだ」

ピーター・ドラッカーは言います。
「何によって憶えられたいか?」
これは人間の誇りから発せられた問いなのです。

2015年4月半ばの土曜日。
新緑が美しい。
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『パンセ』を読んで、
ちょっとだけ、考える葦になってみました。
(来週土曜日につづきます)

〈結城義晴〉

ジジとパスカル[日曜版2015vol16]

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ジジです。
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新緑のきせつ。
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空もうつくしい。
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ヨシハルおとうさん、
パスカルの『パンセ』に、
はまってる。
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「あまりに自由なのは
良いことではない」
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「必要なものをぜんぶ持っているのは、
良いことではない」
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〈断章379〉

「人は意地悪が好きなものだ」
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「しかし、意地悪していいのは」
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「目の悪い人や不幸な人に対してではない」
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「卓越した者に対してだけである」
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「その点をはずすと、
見当ちがいなことになる」
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〈断章41〉

「人間は小さなことに対しては敏感であるが」
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「大きなことに対してはひどく鈍感なものである」
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〈断章198〉

 

「人間の本性とは、
全くの自然である」
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「つまり、《まったくの動物》であるということだ」
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人間はおもしろいです。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

ゴールデンウィーク直前態勢と「人が人のために」の価値

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Everybody!  Good Monday!
[2015vol16]

2015年第17週、
4月第4週。

昨日の日曜日、
横浜は新緑が美しかった。
霧雨に濡れた新緑は、
なおさらまぶしいほどだ。

日曜日晴後曇花時雨
〈日経俳壇より 武蔵野 森田和行〉

日本列島はまだまだ、
花時雨を楽しめる。

そして今日は、二十四節気の「穀雨」。
『暦便覧』では、
「春雨降りて百穀を生化すればなり」
これが一番ぴったりの表現だ。

日と月の休む菜の花畑かな
〈朝日俳壇より 稲沢市 杉山一三〉

今日、ポール・マッカートニー来日。
もちろん元ビートルズ。
しかし、もう、72歳。

東京と大阪で、5回の公演。

ただし私は純粋ビートルズ主義者。
ジョン・レノンとジョージ・ハリソンが没したあとも、
ポールは素晴らしいが、
残念ながらビートルズではない。

大瀧詠一のいない「はっぴいえんど」と同じ。

それでもポール・マッカートニーの来日公演は、
嬉しいニュースだ。

さて来週水曜日の29日が、
「昭和の日」の祭日で、
そこからゴールデンウィークに突入する。

商人舎magazine、
weekly商人舎日替わり連載。
月曜日は「2週間販促企画」

当然のことながら、
今週からもう、

ゴールデンウィーク態勢に、
入っていなければならない。

今年は、29日水曜日の後、
2日の土曜日から5連休。

5月1日の金曜日はメーデー。
連合のメーデーは29日だが、
「May Day」と書く如く、
5月の日。

なんとか5月1日に、
実施してもらえないだろうか。

一般サラリーマンは、
30日の木曜日と、
この本来のメーデーの日に、
休暇をとれば8連休。
5連休のあとの7日、8日を、
休暇にすれ9連休。

ライフスタイルとして、
どちらもあるだろう。

ただし、今年度が始まって、
最初の重要な大型連休。

このゴールデンウィークに、
自分の顧客の心をつかめば、
夏のお盆商戦から、
秋、冬、年末年始と、
1年が優位に展開する。

今週の態勢づくりで、
その雌雄は決する。

ホップ・ステップ・ジャンプ。
今週がそのホップ、
来週がステップ、
再来週の5連休がジャンプ。

フラフラせずに、
気を引き締めて、
3週間を1クールとして取り組みたい。

糸井重里の『ほぼ日刊イトイ新聞』
巻頭言でイトイが語る。

「人間ができることを、
だんだんと機械がやれるようになってきて、
『人間だけができること』
人間がやればいい、と。
そういう時代が来てしまった、
と思っていた」

「機械がやれることは
機械にやってもらって、
人間は『人間だけができること』を
やればいい‥‥と、
言うのは簡単だけれど、
ずいぶんむつかしいことだ」

「だって、このごろは、
機械には無理だと思われていた
いわゆる『ホワイトカラー』の仕事も、
人手と時間のかかる部分は、
どんどんコンピューターという機械が
やってくれている」

むしろホワイトカラーの仕事こそ、
コンピュータにとって代わられる。

「だから、もっとアートなことだとか、
クリエイティブと言われるようなことをこそ、
人間がやればいいと、
また口では言えるんだけど、
アートやらクリエイティブのある程度の部分は、
またまた、かなりコンピューターがやっている」

このあとがイトイの真骨頂。

「しかし、このごろ思うのだけれど、
『人が人にしてもらううれしさ』というのは、
機械に代行させても、
なかなかよろこばれない」

「多くのサービス業で人間がやってるサービスを、
機械にまかせてしまったら、
お客はそれをよろこばない」

「『人が、人のために』という価値は
消えにくいものだ」
まさにその通り。

そして「人が人のために」は、
まさに人の数だけある。
マネできるものではない。

ゴールデンウィークは、
「人が人のために」をなんとしても、
地域一番にしたい。

さて今日は、
午前中に横浜商人舎オフィスに来客。
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ハウス食品㈱の営業本部の面々。
真ん中が広域営業部長の小須賀勇さん、
左は営業企画課長の鈴木勝也さん、
右が同チームマネジャーの富本晋平さん。

6月16日(水)に、福岡で、
「カレー&スパイスアクション」
九州 フォーラム2015が開催される。

私がその基調講演をする。

九州方面のみなさん、
おいでください。

午後は、東京・日暮里へ。
一般財団法人ワンアジア財団の理事会評議員会。
私は設立当初から評議員。

2015年度の事業計画で、
アジア中心に都合330の大学で、
「アジア共同体論講座」が開設される。

現在は21の国・地域の186大学に、
講座が開設されている。
38の国・地域の144大学が準備中。

日本では東京大学教養学部と大学院、
早稲田大学とその大学院など、45校。
韓国では高麗大学、延世大学をはじめ40校、
中国は清華大学、復旦大学をはじめ57校。

アジア共同体論を常設科目化した大学も、
9の国・地域の50校。

財団の活動は目に見える成果を上げている。

いま、アジアだけでなく、
アメリカ、ヨーロッパ、アフリカまで、
その趣旨が理解され、
講座開設の大学が増えている。

さらに今年8月1日には、
中国・上海の復旦大学で、
第5回ワンアジア・コンベンションが開催される。
先の大学から教授陣が300人も集まる。

この財団は、佐藤洋司さんが理事長。
ダイナム・ジャパン・ホールディングス社長。
パチンコホールのチェーンストアを経営して、
3年前に香港株式市場に上場を果たした。

そして今月の8日に、
ニラク・ジー・シー・ホールディングスが、
二番目の上場を成し遂げた。

そのニラクの谷口晶貴さんは、
ワンアジア財団の評議員。

今日はニラクの上場を祝って、
財団の理事・評議員事務局で乾杯。
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谷口さん、おめでとう。

さて今週の結城義晴のスケジュール。

あすの火曜日は、
鶴ヶ峰病院で検査結果を診断してもらう。

水曜日は故原島功さんのお別れの会。
㈱ベルク会長。
12時からパレスホテル東京。

その後、13時から商業経営問題研究会。
久しぶりに出席して、講義する。

木曜日は、
カスタマー・コミュニケーションズ㈱役員会。

金曜日は、
イオン経営者候補研修開校式講演。

その間、月刊『商人舎』5月号の入稿仕事。

今週も忙しい。

考えてみると、
この仕事は機械に、
とって代わられることはない。
「人が人のために」の仕事だから。

みなさんも、
ゴールデンウィークに向けて、
「人が人のために」の仕事を。

今週がホップ・ステップ・ジャンプの、
大事な大事な第一段階のホップ。

ではみなさん、
Good Monday!

〈結城義晴〉

「もうおやめなさい」と「脱コモディティと低価格コモディティ」

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2月4日に人間ドックに入って徹底検査し、
3月3日に大腸内視鏡検査を行い、
3月23日に胃カメラを飲んで胃の検査をし、
4月10日にピロリ菌呼気検査。

「一月往ぬる、
二月逃げる、
三月去る」

結城義晴の場合、
二月人間ドック検査、
三月内視鏡検査、
四月呼気検査。

その結果を今日、聞いた。

胃も腸も大丈夫。
ピロリ菌も見当たらず。
糖尿も痛風も事なきを得た。

62歳とすれば、いい方です。

ありがたい。

とは言っても、節制に務めるように。
このところ炭水化物を控えてきたが、
ご飯をやめて、
パンと麺は食べることにする。

お騒がせしました。

検査が終わって、
商人舎オフィスが迎えてくれた。

私のデスクのジャンセンのリトグラフ。
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小野貴邦さんの額。
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立教大学院・結城ゼミのペンダント。
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安らぐ。

さて朝日新聞の巻頭コラムは、
東大の受験にも出題される、
有名な『天声人語』

「人の世において出処進退は難しく、
地位に恋々(れんれん)として
晩節を汚した人は少なくない」

細川ガラシャ夫人の辞世の歌。
散りぬべき時知りてこそ世の中の
花も花なれ人も人なれ

明智光秀の三女にして、細川忠興の正室。
キリスト教信者で、悲運の最後を遂げた。
その壮絶な死に面しての辞世。

コラムが書きたいのは、
サッカーの三浦知良(かずよし)選手。
Jリーグ2部だが48歳の現役。
日曜日のゲームで、
自身の持つ最年長得点記録を更新。

1週間前の日曜日のサンデーモーニング。
関口宏が司会の長寿番組。

野球解説者の張本勲が、
三浦カズに対してコメント。
「もうおやめなさい。
若い選手に席を譲ってやらないと」

それを聞いたカズ。
「もっと活躍しろと言われているんだなと思った。
激励されたと思って頑張る」

そして翌週の日曜日の最年長ゴール。

張本が、お返しの「あっぱれ!」

コラムは締める。
「とかく売り言葉に買い言葉、
悪態の応酬の多いご時世に、
一吹き、さわやかな風が渡っていった」

「かっこいいとは、こういうことだ。
まだまだ散るべき時にあらず」

散り際の人々には、
じつに大きな勇気を与えてくれカズだが、
しかし、このケースは、
極めて希だ。

散りぬべき時知らず、
のほうが断然、多い。

むしろ張本勲が妥当だ。
「もうおやめなさい。
若い選手に席を譲ってやらないと」

私も張本にならねばならない場合の方が、
圧倒的に多い。

さて、日経新聞の記事。
「小売り、『脱安売り』に軍配」

果たしてそうか。

「消費増税や円安の逆風が吹くなか、
客単価を引き上げた小売企業の業績が好調だ」

「脱デフレ期待の高まりを背景に、
価格を低く抑え、
シェア拡大を狙う企業が苦戦する一方で、
品質にこだわり、高付加価値戦略を採る
企業の業績好調が鮮明だ」

持ち出した事例は、
まずエービーシー・マート。

客単価の増加率は5.8%。
12期連続で最高益を更新する原動力。

5年前は客単価が5%ほど下がる一方で、
客数が7%ほど増えた。
価格を下げることで、
消費者を呼び込んでいた。

ところが消費者のデフレ志向は一変した。

野口実社長。
「安さを強調する商品だけでは売り上げが伸びない」
機能やファッション性を高めたスニーカーを拡販。
前期は客単価が上昇したものの、
客数はほぼ横ばいを確保できた。

セブン&アイ・ホールディングス。
村田紀敏社長。
「商品の価値や質への評価が
重要になっている」

セブン-イレブンはそのとおり、
しかしイトーヨーカ堂はどうか。

良品計画。
3期連続で最高益を更新。
客単価3.6%増。
金井政明社長。
「高付加価値商品の販売に
注力したことが奏功」

ファーストリテイリングの上期。
客単価は約1割上昇、
半期として最も高い伸び。

消費増税に対応し、昨年の秋冬商品で、
同社として初めてとなる値上げに踏み切った。

値上げに伴って、
「エクストラウォーム(極暖)」など、
付加価値の高い商品に力を入れた。

業績も最高益を更新。

一方、しまむら。
客単価1.9%増で伸び悩み、
上場来初の2期連続の減益。

記事は指摘する。
「高単価のプライベートブランド投入の出遅れ」

「消費増税後の節約志向の高まりが逆風で、
強みを持つ低価格帯の商品の売れ行きも鈍かった」

ファミリーマートの客単価は0.5%下落。
コンビニ業界で、
「既存店売上高で前年同月比プラス」は、
セブン-イレブン・ジャパンだけだった。
「高付加価値戦略が成果を上げた」と総括。

そして日経新聞は、
主力小売業66社の営業利益を集計。
前期の増益企業は37社、
全体の6割弱。

「消費増税の影響が一巡する今期は
約9割の企業が営業増益を 見込む」

まとめはアナリスト。
SMBC日興証券の並木祥行さん。
「商品構成で差異化できる企業と
そうでない企業とで
明暗が分かれる構図は続くだろう」

これは商品構成のポジショニングを示している。
だからこの意見には私も賛成。

ただし付加価値を高め、
客単価を上げれば、
成功するかというと、
それだけでは、間違い。

「脱安売り」ではなく、
「脱コモディティ」。

一方、コモディティは、
しっかり低価格を出さなければ、
客数は落ちる。

高単価のプライベートブランドを投入しても、
それが脱コモディティの価値を有して、
顧客から評価されねば、成果は出ない。

だから「『脱安売り』に軍配」は間違い。
念のため。

「脱コモディティの開発と、
コモディティは低価格、
そのプロフィット・ミックス」

しかし「それを言っちゃあ、おしまいよ」
寅さん。

「花も花なれ 人も人なれ」ではある。

〈結城義晴〉

故原島功さんの「お別れの会」とベルクの『商売六訓』

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日経平均株価。
4月10日以来、
再び2万円台を超えた。

海外ではNikkei225と呼ばれる。
東京証券取引所一部上場の225銘柄の平均。

225銘柄には小売業が8社入る。
イオンとセブン&アイ・ホールディングス、
それにユニーグループ・ホールディングス。
三越伊勢丹ホールディングス、
高島屋、J.フロント リテイリング、
丸井グループ。
そしてファーストリテイリング。

ファミリーマートと統合すると、
ユニーグループが消えて、
どこかが入る。

平均株価は単純平均で、
ファーストリテイリングが今日、4万9245円、
ユニーグループが694円。
両者の今日の単純平均は2万4970円。

このようにして全産業の225銘柄を平均する。
それが2万円台を超えた。

いずれにしても、株価は好調。

今日は正午から、
パレスホテル東京。
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故原島功さんの「お別れの会」
㈱ベルク会長。

3月20日に永眠。
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多くの人が、お別れに訪れた。
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原島さんは祭壇で、
いつもの真顔だった。
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献花をすると、
次の間には写真が展示され、
昼食が供された。

そこでは笑顔。
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いい写真だと思った。

2006年7月31日、
イオン社長の岡田元也さんとの写真。
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そして最期の言葉。
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ベルクの商売六訓。
一、損得よりも善悪を優先しよう
二、お客様の立場で物事を考えよう
三、働いている従業員も健康で幸せになろう
四、経常利益をしっかり確保しよう
五、今まで以上に経営を合理化しよう
六、良い事は何でも真似しよう

その第三訓を原島さんは、
強く願っていた。

このベルクの商売六訓。
ご存知、倉本長治の『商売十訓』を、
お手本にしている。

一 損得より先きに善悪を考えよう
二 創意を尊びつつ良い事は真似ろ
三 お客に有利な商いを毎日続けよ
四 愛と真実で適正利潤を確保せよ
五 欠損は社会の為にも不善と悟れ
六 お互いに知恵と力を合せて働け
七 店の発展を社会の幸福と信ぜよ
八 公正で公平な社会的活動を行え
九 文化のために経営を合理化せよ
十 正しく生きる商人に誇りを持て

ベルクの商売六訓の五訓は、
長治十訓の一、二、三、四と、
九に似ている。

第一訓はそっくりだ。

しかしベルクの第三訓の考え方は、
ベルクだけのもの。

それを原島功は最期まで願っていた。

良いことは何でも真似る。
しかし独自の三訓をもつ。

それが原島経営の真骨頂。

原島さんは30代後半で、
癌を患った。

この20数年間、
癌と闘いながら経営を続けた。

だから多くのことを試しはしなかった。
しかし絶対にブレなかった。
シンプル・マネジメントが貫徹された。

それがベルクの強みだった。

これからのベルクの経営陣が、
いかにブレずに方針を貫けるか。
何よりもそれが問われる。

原島功の経営は、
自身の命と引き換えるがごとく、
従業員の幸せの実現を目指した。

原島功の息遣いが、
店と商品と会社に染みわたっていた。

お別れの会では、多くの人と会った。
原島さんの奥様にもご挨拶した。
甥の増田有一郎さんにも会って、
マスダのことを話した。

川勝利一さんとは、待ち合わせしていた。
川勝さんは商人舎エグゼクティブディレクターで、
原島さんと個人的にも懇意にしていた。

㈱セイミヤ社長の加藤勝正さんも、
原島さんとはごく親しかった。

セイミヤは潮来主婦の店。
ベルクは秩父主婦の店。

加藤さんはひどく寂しそうだった。

パレスホテルを辞して、
加藤さんと一緒に、
日本チェーンストア協会へ。
DSCN2207-5
久しぶりに、
商業経営問題研究会。

加藤さんもそのメンバー。

私は座長を務めているのに、
このところ多忙で、
例会を欠席している。

そこで今日は、
私からの3時間ほどのレクチャー。DSCN2204-5
ネットスーパーと移動スーパー、
コンシャス・リテイリングなどなど、
最近の世界小売業の動静を語り、
みなで、議論した。

ホールフーズマーケットのCEOは、
ジョン・マッケイ。

そのコンシャス・リテイリング。
月刊『商人舎』1月号の特集。

マッケイも見事にストイックな経営者だ。
原島功に共通するものがある。

マッケイの経営の中心にあるのは、
第一に存在目的とコア・バリュー。
それを三つの要件が取り囲む。
第二のステークホルダーの統合、
第三のコンシャス・リーダーシップ、
そして第四のコンシャス・カルチャーと、
コンシャス・マネジメント。

ベルクのコア・バリューは商売六訓。

そして原島功自身のコンシャス・リーダーシップが、
ステークホルダーと、
トップ&ミドルのマネジメントを引っ張った。

それがベルク従業員のカルチャーを構築した。

ここまで書いてきても、
何度も思う。

惜しい。

早すぎる。

しかし原島功は、
癌と背中合わせの経営をしていた。
従業員の健康を祈りつつ。

なんと皮肉な経営なのだろう。
こころから、ご冥福を祈りたい。

今日のベルクの株価は、
3515円だった。

合掌。

〈結城義晴〉

CCLの「ウレコン」と糸井重里・上野光平の「よくわからない存在」

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初夏の陽気というのだろうか、
気持ちのいい日。

朝から東京タワーが美しい。
DSCN2208-5
今日はなぜか、
タワーが大きく見えた。

カスタマー・コミュニケーションズ㈱。
略称CCL。
その取締役会。

最近、ホームページを刷新。
「TRUE DATA」が新キャッチフレーズ。

会社の内容がわかりやすくなった。
まだまだだけれど。

それから4月20日から、新しく、
主にメーカー向けのサービスを始めた。
名称はウレコン
「売れ筋コンパス」の略。
つまりは全国の小売業、
おもにスーパーマーケットとドラッグストアの、
POSデータとID-POSデータの情報をもとに、
カテゴリー別、商品別に、
その売れ筋の動向を知ることができるサイト。

7月から有料になるけれど、
6月末までは無料お試し期間。

今夏から、続々と、
さらに新しいサービスをリリースする。
例えばDolphin Eye
例えばEagle Eye。

小売業向け分析ツールは現在、
3つのシステムがある。
Shopping Scan
Map Scan
Customer Scan。

毎月毎月、取締役会に出席して、
報告を聞き、質問をし、意見を言う。

それに応えて、次々に改善改革が進む。
もちろん幹部や社員は不断の努力。

すごいスピードで動いている。
このわかりにくいIT業界の、
最先端のスピード感を、
私も実体験して、
感動しつつ、学んでいる。

会議は正午に終わって、
同僚非常勤取締役の、
川崎清さん、田窪伸郎さんとランチ。

その後、横浜に戻る。

商人舎オフィスの近くを流れる、
新田間川。
DSCN2211-5

こちらも新緑が気持ちいい。
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さて、『ほぼ日刊イトイ新聞』
目次のページのコラムは糸井重里執筆。

「『よくわからない』存在って、
よくないとはかぎらないんだよね」

これ、自分のこと。
自分の会社のこと。

「だいたい、『ほぼ日』って、なによ。
『よくわからない』って、
ずっと言われてるよ。
似たような会社と比べてみて
‥‥とか言われても、
どこの会社が似ているんだかわからない」

そして自分のことを述懐。

「コピーライターという肩書きは便利なもので、
『よくわからない』やつをいれておくには、
とても都合のいい容器だった」

そして仕事した。

「なにか頼まれたり
誘われたりしたことがあったら、
やったことないことも、
習ったことのないことも、
困ったなぁと思いつつ、
だいたい引き受けた」

「でも、コピーライターってのは、
なんでもやる仕事じゃない、
ほんとはね」

つづけて述懐。

「コピーライターの仕事をしなくなってから、
肩書きがつけられなくなってしまって、
あらためて『よくわからない』存在であることが
はっきりしてしまったように思う」

「メディアなどで肩書きのところに
習慣のように『コピーライター』と記されているとき、
『もう、やってないんですよねぇ』などと、
修正をお願いするべきなのかもしれないけれど、
そんなことどうでもいいや、と、
そのままにしている」

「ほんとは『よくわからない』仕事を
してるんです」

「キッパリと言えば言えなくもないのだけれど、
しかも、そのほうが応援する人も
しやすいのだろうが、
ちっちっち、ぼくらをなめちゃいけない(!)」

「もっとずっと『よくわからない』ことを
考えているのだ」

最後に決意表明。
「これまでもそうだったように、
これから先も、
ぼくや、ぼくらのやることは
『よくわからない』を、
グラマラスな肉付けのように
持ち続けるであろう」

この気分、私にはよくわかります。

私も「何屋」なのか、
よくわからない。

外国では「コンサルタント」と紹介されたり、
あるときは「ジャーナリスト」と言ったり、
昨年までは「大学院教授」でもあった。

㈱商人舎代表取締役ではあるけれど。

そういう糸井さんだって、
㈱東京糸井重里事務所代表取締役。

考えてみると、
ピーター・ドラッカー先生こそ、
よくわからない存在だった。
歴史上随一の経営学者で、
最後までクレアモント大学教授ではあったが、
それだけでは物足りない。

コンサルタントの仕事もしたが、
それだけでは断じてない。

思想家、啓蒙家、文筆家、教育者。
どう表現しても、
そのひと言が陳腐になってしまう。

そんな存在だった。

もちろん商業界の故倉本長治先生も、
「よくわからない」存在だった。

商業に関する思想家、指導者、
コンサルタント、文筆家。
「商業界主幹」が通り相場の肩書きだったし、
「主幹」とは「中心となる人」だが、
実はよくわからない。

故渥美俊一先生は、自ら称した。
日本リテイリングセンターチーフコンサルタント。
渥美先生らしく、明確だった。

しかし盟友の上野光平先生は、
まさによくわからない存在だった。

オーナーの堤清二さんに請われて、
西武百貨店に入社し、
西友ストアーを創業して支配人となり、
最後は流通産業研究所理事長・所長。

業界のご意見番のような存在だったが、
よくわからない立場に身を置いた。

商業界の先輩の緒方知行さんは、
「生涯一編集者」と自称しているが、
私はどうも、それとは違うようだ。

私はずっとずっと小粒だが、
糸井の言うように、
倉本先生や上野先生のように、
そしてドラッカーのように、
「よくわからない」存在ではありたい。

上野先生は大正13年生まれで、
伊藤雅俊さんと同年だったが、
63歳で逝去された。

著書の一冊が『自己啓発のすすめ』
その中にある。

「自己啓発とは、
かけがえのない
ただ一回かぎりの人生を、
死の瞬間まで続く、
一生かけての仕事である」

私は「よくわからない」を、
グラマラスな肉付けのように
持ち続けることはないかもしれないが、
死の瞬間まで続く、
一生かけての仕事は、
貫きたいものだと思う。

その意味で、
よくわからないIT業界に首を突っ込むことも、
自己啓発という側面を持っている。

〈結城義晴〉

イオン経営者候補研修開講式講演とドラッカーの「8つの習慣」

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気持ちのいい4月下旬。
朝5時台に起き出して、
千葉県の海浜幕張へ。

イオンタワーアネックス。DSCN2217-5

JRの駅側から見ると、
その裏になるが、
これが本物のイオンタワー。
DSCN2219-5

4階の大ホールで、
イオン経営者候補研修開講式の講演。DSCN2221-5

要望されたテーマは、
イオンの価値を外部から評価すること。

前半の90分ほどは、
さまざまな角度からそれを話した。

創業者の岡田卓也さんが、
商業界のエルダーで、
倉本長治の愛弟子の一人。

だから倉本思想、商業界精神は、
イオンのDNAの一部となっている。

『岡田卓也の十章』という単行本は、
私が㈱商業界の社長を辞する時に、
編集部長の工藤澄人君と一緒につくった本。

岡田さんは「結城さんの著書にしてもいいよ」、
と言ってくださったが、
私は著者名を入れず、
発行者に名を残した。

この『岡田卓也の十章』についても語った。

グローバル500のランキングの中の、
イオンの位置づけについても語った。

そしてイオンのライバルは、
どの企業かについても語った。

それでも私は「経営者の条件」を是非とも、
レクチャーしなければならないと考えていた。
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従って後半の90分は、
21世紀のチェーンストア「経営者の条件」が、
テーマとなった。
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このことも、存分に語った。

180分でも足りなかった。
もっともっと語りたかった。

経営者候補の研修会は、
このあと、1年間続けられる。

そこにイオンの全グループから、
230人が選抜され、参集した。

実は、これがイオンの強みであると思う。

毎年毎年、200人を超える経営者候補を、
集めて教育し、討議させて、
「経験の共有」を施す。

もちろん多くの会社をつくり、
そこで経営者の実務経験を積ませる。

日本を代表する小売企業のあり方であろう。

では、それ以外の企業はどうするか。

店長教育も、バイヤー教育も、チーフ教育も、
必要であることは論を待たない。

しかしそれらの役割の人々を、
リードする経営者教育こそ、
多くの企業に求められる必須のテーマだ。

地方企業は、帝王教育もいいだろう。
スカウト人事も必要だろう。

一定以上の教育を施し、
経験を積ませたら、
トップマネジメントに関しては、
あとは振り落としの選抜しかない。
厳しい選抜方式こそが、
最後のトップマネジメントを決める。

トップマネジメントの養成は、
実はこの方法しかない。

計画的にトップを、
製造し、育成していくことはできない。

だからできるだけ多くの経営者候補に、
教育を施し、体験させ、
その上で厳しく選抜する。

厳しく選抜せねば、
周りの者や会社全体が、
えらく大きな迷惑を被る。

ただし、勘違いしてはならない。
ドラッカーは『経営者の条件』の中で、
強調する。

「これまで会ったCEOのほとんどが、
いわゆるリーダータイプではない人だった。
彼らが成果をあげたのは、
8つのことを習慣化していたからだった」

『経営者の条件』の読書は、
今日の講義では、宿題にした。
自分で読んで考えるように要請した。

自分で考えることこそ、
一番、身につくからだ。

しかしこのブログで、
簡単にダイジェストだけはしておこう。

「経営者として成果を上げるには、
特別の気質も能力もいらない。
8つのことを身につければよい」

もちろん「インテグリティは必須」だけれど。

第一に、なされるべきことを考える。
顧客のため、従業員のため、社会のために、
なされるべきことを考える。
未来のために今、なされるべきことを考える。

第二に、組織のことを考える。
ステークホルダーのことを考える姿勢も大事だ。
しかし彼らのことを考える前に、
社会の公器としての組織のことを、
考えなければならない。

組織をつくり、動かさねばならない。

第三に、目標を定め、
アクションプランをつくる。

経営とは、行動することだ。
経営者とは、行動する者である。

そのためには、まず目標を定め、
計画しなければならない。

しかし、状況が変化すれば、
ただちにそれを変更していく。

第四に、意思決定を行なう。
もちろん、意思決定は、
定期的に見直していく必要がある。

第五に、コミュニケーションを行う。
これに関しては今日、
丁寧に説明した。

経営者は、動機づけし、
コミュニケーションする。

第六に、機会に焦点を合わせる。
問題の処理や対処が成果をもたらすわけではない。
根本的に、機会こそが成果をもたらす。
そのことを知らねばならない。

第七に、会議の生産性を上げることである。
ただ会議に出るだけでは、仕事はできない。
会議の生産性を上げ、人の強みを生かすことだ。

第八に、「私は」ではなく、
「われわれは」を考えることである。
これも組織の強みを生かすためである。

ドラッカーは説く。
「成果をあげるには、
性格、強み、弱み、価値観、信条は、
いかようであってもよい。
なされるべきことをなすだけでよい」

しかし「なされるべきことをなす」にあたって、
トップマネジメントは厳しく選抜される。

「成果をあげることは、習慣である。
したがって、他の習慣と同じように、
身につけることのできるものである」
ドラッカーは優しい。

「そして身につけなければならないものである」
ドラッカーは厳しい。

つまりドラッカーは厳しくも、優しい。
それがドラッカーである。

〈結城義晴〉


朝日新聞「カリスマのDNA」と中内功の「悲惨と偉大」

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「カリスマのDNA」
朝日新聞が今週4回にわたって連載。
水曜日から今日の土曜まで。
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カリスマとは故中内功さん。
もちろんダイエーの創業者。

1977年入社組の約100人。
「就職氷河期」に採用され、
ダイエーの栄光と挫折の歴史とともに歩んだ。
彼らが語り部。

第1回目は瀬戸山隆三さん。
元ダイエーホークス球団代表で、
現在、オリックス・バッファローズ球団本部長。

第2回目は恩地祥光さん。
ダイエーでは合併などを手がけ、
今、M&Aの助言会社レコフ社長。

第3回目は小林俊雄さん、
現アスカティースリー社長。
タッチパネルシステムの会社。

そして第4回の今日は、
小濱裕正さん。
ご存知、カスミ会長で、
ユナイテッド・スーパーマーケットHD会長。
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小濱さんは77年組の一回り上の世代だが、
最終回に登場。

小濱さんは述懐する。
「中内さんは本当は、
食品スーパーをやりたかったんだと思う」

この言葉を小濱さんは、
2005年11月20日(日曜)の、
「中内功氏を偲ぶ会」でも、
壇上スピーチで語った。

私はこの時、総合司会を務めた。
㈱商業界社長だった。

小濱さんがカスミ副社長に就任したとき、
同社は「ミニダイエー」といえた。

社長に昇格して、
小濱さんは不採算事業を一つ一つ、
丁寧に始末して、
食品スーパーマーケット企業に回帰させる。

それが現在のユナイテッドに繋がる。
日本最大のスーパーマーケット企業。

記事はここに、
「カリスマのDNA」を認める。

小濱さんは語る。
中内さんには、
「消費者のためにダイエーがある、
という志があった」

連載最後の言葉。
「中内の『志』は、
今も息づいている」

朝日新聞らしい切り口だったが、
もう少し長く続けて欲しいところだ。

ところで結城義晴は、
1977年4月、
㈱商業界新卒入社。

この物語の主人公は中内功だが、
語り部たちは、77年入社組。
現在も活躍しつつ、
志を継ぐ者たち。

私は彼らと同期生。

感慨は深い。

そしてダイエー入社ではなかったけれど、
その「志」は同じくしているつもりだ。

フランスの哲学者・数学者、
ブレーズ・パスカル。
その著書『パンセ』。
DSCN2408

先週から土曜日には、
『パンセ』から言葉を拾っている。

「進歩によって完成したものは、
すべて、進歩によって滅びるのだ。
弱かったものが絶対的に強くなる
などということは断じてありえない。
《彼は成長した。彼は変わったのだ》
と言うが、それは嘘だ。
彼は昔の彼なのである」
〈断章八八〉

これは手厳しい。

強いものは、はじめから強い。
弱いものは、はじめから弱い。
彼は昔の彼である。

もちろんそれぞれに進歩はある。
しかしその進歩が滅亡の原因ともなる。

「わたしたちがどんな状態にいても、
自然はわたしたちを不幸にするものである。
わたしたちの願望が、
もっと幸福な状態というものを
わたしたちの心に描きだしてみせるからだ」
〈断章一○九〉

「For the Customer」を標榜し続けたダイエー。
しかし顧客たちは、どんなときにも、
不幸を感じていたように思う。

それでもダイエーは、
「流通革命」の申し子のように、
流行をつくりだした。

「流行は、
楽しみをつくるのと同様に、
正義もつくる」
〈断章三〇九〉

「ネアカ のびのび へこたれず」
晩年、中内さんが好んだ言葉。

しかしこの考えは、
戦争中の悲惨な従軍の経験の、
裏返しの思いだと思う。

「惨めさは偉大さから結論され、
偉大さは惨めさから結論される」

「ひとことで言えば人間は、
悲惨であることを知っている。
よって、人間は悲惨である。
なんとなれば、悲惨だから。
だが、人間はじつに偉大である。
なぜなら、悲惨であることを知っているから」
〈断章四一六〉

中内功ほど、
偉大な商人はいなかった。

その志を継ぎたい。

〈結城義晴〉

ジジと天使とけだもの[日曜版2015vol17]

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ジジです。
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きょうもいい天気。
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でも、ヨシハルおとうさん、
お腹をこわした。

きのうたべたものが、
よくなかったらしい。
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でも、『パンセ』、
読んでます。

今週も。
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「おのれ自身を知ること」
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人は
おのれ自身を
知らなくてはならない。
たとえ、それが
真実を見いだす助けにはならなくとも、
すくなくとも
生活を律するのには
役立つ。
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そして、
これ以上に
正しいことはないのだ。
〈断章六六〉

おとうさんのお腹、
生活を律することに、
失敗したのでしょう。
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反省して、
字を書きました。
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「天使とけだもの」
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人間は
天使でもなければ、
けだものでもない。
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そして、
不幸なことに、
天使をつくろうとして
けだものを
つくってしまうのである。
〈断章三八〉
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おとうさんは、
人間。
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ボクはけだもの?
天使?
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できれば、
天使でありたい。
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そう、おもいます。

よろしく。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

日経ビジネス特集「挫折の核心 イオン」の「スーパーのナレッジ」

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Everybody! Good Monday!
[2015vol17]

2015年第18週、
4月最終週です。

昼寝して床屋に顔を忘れけり
〈朝日俳壇より 東京都 池田合志〉

1年で一番いい季節。
こんなのんびりした気分にもなります。

つくしんぼ夜は屈伸運動す
〈同 奈良市 大年厨〉

俳句も、のんびりしています。

今週水曜日4月29日が、
昭和の日の祭日。

この日がゴールデンウィークの初日。

商人舎magazineの、
weekly商人舎日替わり連載。
「月曜朝一・2週間販促企画」
ここでもホップ・ステップ・ジャンプが、
提案されている。

先週がホップ、
今週がステップ、
来週がジャンプ。

この考え方をとっている企業は、
イオンとユニクロ。

あとの大手企業は、
52週マーチャンダイジングの影響か、
1週間ずつのプロモーション。
もちろんこちらは、
月間プロモーションと、
週間販促企画の組み合わせなのだが、
ゴールデンウィークは、
4月終盤と5月初旬が重なる。

だからホップ・ステップ・ジャンプを、
私は勧めている。

ユニクロはずっと絶好調。
イオンは昨年度、絶不調。

従ってホップ・ステップ・ジャンプだけが、
決定的な施策とはいえない。

だから自分の顧客と、
自分の店のこれまでの政策を見直しながら、
自分の企業、自分の店の作戦を、
立案して欲しいところだ。

もちろんゴールデンウィークの立案にしても、
すでに3カ月前からスタートして、
1カ月半前には決定しているだろうから、
今さらということではないのだが、
このあたり月刊『商人舎』3月号で、
㈱平和堂の夏原陽平さんが、
実に鋭い考え方を披瀝してくれている。

夏原さんは営業企画室室長兼経営戦略室統括、
3月号の特集は「52週MDの錯誤」。

さて、日経ビジネスが今日、
2週合併号を発刊。
特集「挫折の核心 イオン」

実はサブタイトルが本当の趣旨。
だから私はこちらを大きくする。
「セブンも怯えるスーパーの終焉」

三部構成、三本立て。

Part1は、イオンの業績が悪いという話。

岡崎双一さんが登場する。
イオンリテール社長。

イオン九州社長の柴田祐司さんと、
商品担当執行役の岡田英二さんが、
それぞれに店舗での商売と、
商品やブランドの開発について、
発言する。

そしてもちろん、
イオン社長の岡田元也さんも、
話に出てくる。

要は「イオン化」が挫折し、
「解体」で出直しするとの分析。

私は日経ビジネスとは、
ちょっと考え方が異なる。

Part2は、セブン&アイの業績はいいが、
かつての親会社イトーヨーカ堂には、
「最後通牒」が突きつけられているという話
もちろん会長の鈴木敏文さんから。

そして絶好調のセブン-イレブンにも、
「変われ!」と号令がかけられている。

Part3は、小売企業の「適者生存の条件」。
ライフコーポレーション社長の岩崎高治さんと、
イズミ社長の山西泰明さんが発言する。

全体のトーンは、明確だ。
古典的なチェーンストア理論が、
現在の「スーパー」を行き詰まらせている。
規模拡大が破綻の原因。

特集の全体構成は、
極めて、普通。

特集の第一部で、
イオンはケチョンケチョンに、
貶される。

今週のイオン経営者候補研修の講演で、
私も強調した「膨張と成長」。
このブログでも何度も紹介しているが、
故田島義博学習院大学院長の言葉。

店数や見せかけの規模が
大きくなることを「膨張」という。
「成長」は実質的な経営品質を伴って
規模が拡大することだ。

日本最大小売業のイオンが、
膨張になってしまうか、成長と評価されるか、
今、その分岐点に立っていることは確かだろう。

日経ビジネスは、「膨張」だと断じる。

一方、セブン&アイの第二部。
これもこのブログの1月5日版で触れたが、
今年の年頭所感で、鈴木敏文さんが、
「脱チェーンストア」を宣言した。

「チェーンストアとは、
本部で仕入れた商品を
複数の店舗に一括供給する経営手法」。
記事ではこう、表現されている。

それがダメになった。
だから「個店経営」に転換せよ。

この定義と論旨だけで考えれば、
それは間違いがないように見える。

しかし定義は画一的すぎるし、
現実はそんなに単純な話ではない。

そしてこのストーリーの中で、
ちょっと見過ごせない記述がある。

「『伊藤雅俊・名誉会長から受けた教育が
伝統になってしまっている』
失敗の理由を、鈴木会長はそう指摘する」

「゛”聖域”と化していたものこそ、
チェーンストアという考え方であり、
それに基づいた事業のやり方である」

私は1月5日のブログで書いた。
「いまや、『店舗は自動販売機』、
などというチェーンストア論は、
全く通用しない」

古いチェーンストア論が通用しないのは、
そこにはマーケティングの概念が、
薄い、あるいはない、からだ。

プロダクト・アウトは効果を発揮しづらくなり、
マーケット・インこそ成果を上げる考え方だ。

ただし伊藤雅俊さんは、
私もよく知る名経営者だから、
その名誉のために言っておくが、
マーケティングの人である。

伊藤さんが創り出したグループの社是は、
「基本の徹底と変化への対応」だが、
これは商いやチェーンストアの原理原則を徹底し、
同時にマーケティングしようという考え方だ。

だから「伊藤さんの教育」には、
マーケティングの要素が、
抜けていたはずはない。

それが「伝統」となり、
組織内で硬直化し、硬直化させ、
聖域化したことが問題なのだろう。

その聖域化を象徴させて、
「チェーンストアという考え方」と、
鈴木さんは表現する。

結城義晴は1月5日のブログの中で続ける。
「私はチェーンストアの現代化を標榜し、
近代化チェーンストア論を、
包含しようと考える」

否定するのではなく包含する。

それでも日経ビジネスの記述は、
「鈴木が伊藤を否定する」と読めるから、
これはセブン&アイにとっても、いけない。

第三部はライフとイズミ。
岩崎さんは「売り手の論理」に陥りかけ、
そこから「顧客目線」の会社への回帰を訴える。

山西さんはローカルブランドによる、
「3%の差異化」を語る。
90%がナショナルブランド、
7%がプライベートブランドとして、
あとの3%がローカルブランド。

山西さん、3%とは、
ちょっと控えめすぎるのではないか。
私はそう思った。

沖縄のサンエーでは、
ローカルブランドが3割を超える。

そして日経ビジネスの特集の結論。
「そのためには、
現場の『知(ナレッジ)』を、
広く、深く、速く、
経営に反映するチェーンストアへと
進化することが不可欠だ」

「規模を追うことで乖離した
現場と経営の距離を縮められるのは、
ナレッジしかない」

ここでも「チェーンストア」という言葉が
何気なく使われているから、
先に否定された「チェーンストア」の定義は、
変質している。

はじめの定義は、
「チェーンストアとは、
本部で仕入れた商品を
複数の店舗に一括供給する経営手法」

それが「ナレッジ」によって、
店舗現場と本部経営の乖離が、
縮められ、埋められる。

ドラッカーと結城義晴の「知識商人」は、
もっともっと産業の未来を見つめているが、
この乖離を埋めることにも、
当然ながら役立つものだ。

この特集にひとつ、注文。
「スーパー」と表現される小売業を、
日経ビジネスは対象にした。

しかしそれは総合スーパーと食品スーパーを、
二把一絡げにしている。

川野幸夫さんも横山清さんも荒井伸也さんも、
これに対しては大いに憤慨するはずだ。

川野さんは、
日本スーパーマーケット協会会長、
そしてヤオコー会長。
横山さんは、
新日本スーパーマーケット協会会長で、
アークス社長。
荒井伸也さんは、
オール日本スーパーマーケット協会会長、
元サミット会長。

この日経ビジネスの特集は、
総合スーパーを主に論じている。
しかし食品スーパーが混同されて、
ライフの岩崎さんも登場させられている。

この「業態」概念が日経ビジネスには、
薄い、あるいは、ない。

イオンリテールやイトーヨーカ堂、
そしてセブン-イレブンの現状を、
散々挙げてきて、
ヨークベニマルやマックスバリュには、
傘下にある企業という観点でしか、
触れられていない。

つまり量販店としての「スーパー」と、
かつての深夜スーパー「コンビニ」の区別はあるが、
総合スーパーと食品スーパーの差異はない。

最後の最後の一文は、
「さもなければ、
『スーパーの終焉』は避けれない」

ここでいう「スーパー」は、
明らかに総合スーパーだ。

残念ながら日本で一番部数を誇る経済誌が、
「業態概念」を欠いている。

まだまだ、私たち小売業側の活動も、
不足ばかりだ。

春愁や名を忘れ顔残りゐる
〈朝日俳壇 武蔵野市 佐脇健一〉

商業や小売業という産業が、
春愁のなかで、名を忘れられている。

しかし、ゴールデンウィークには、
目いっぱい消費を喚起して、
その存在感を高めたい。

業態ごとに。

では、みなさん、
Good Monday!

〈結城義晴〉

ネパール大地震支援とデカルト・倉本・ドラッカー「小さく考えよ」

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4月25日に起きたネパールの大地震。
心より、お見舞いしたい。

被害者数は27日時点で、
隣接国を合わせ4000人を超えた。

25日にマグニチュード7.8の地震、
その後も余震は続き、
マグニチュードは依然4~5。

ネパールの主要都市が直撃された。
人口最大の首都カトマンズ、
2位のポカラ、3位のパタン。
日本で言えば東京・大阪・名古屋か。

結果として、経済損失は、
「GDPの20%を超える」との見方も出ている。
そのネパールのGDPは約190億ドル、
120円換算で2兆2800億円。

経済も含めて、
できる限りの支援をしたい。

毎日新聞の巻頭コラム『余録』
「ネパールでは
月の光は『タハタハ』と照り、
星は『チャムチャム』とまたたく」
これは「ネパールを知るための60章」からの引用。
明石書店発行。

翻訳家の三枝礼子さんのコラムでは、
「ネパール語は擬音語や擬態語が
実に豊かな言葉」

「うまそうな匂いは『マグマグ』と漂うし、
風は『サラサラ』とそよぐ」

日本語にも似ているし、
日本にも馴染みが深い。

恐ろしくて震えるさまは「ダグダグ」。

コラムは訴える。
「震災の恐怖を
身をもって知る者同士でなければ
できないきめ細かな手助け」を。

同感だ。

群馬県大間々町の松﨑靖さん。
㈱足利屋洋品店社長。

商業界時代からの親しい友人で、
まさに知識商人。

その松﨑さんは、昨年3月に、
12日から21日まで、
ネパールを訪れた。

その詳細は、
「やっちゃん日記・ネパール編」に。

20年前からネパールの寒村で、単身、
支援活動を続けている垣見一雅さん。
通称「OKバジ」。

タンセンという町にいて、
今回は無事だという知らせ。

「OKバジを支援する会」(桐生・山岸正雄会長)は、
すぐに義援金を募集し、送ることに決定。

こういった民間の活動も貴重だ。

上場小売業では、
ファーストリテイリングが早かった。
27日の朝の段階で、被災した現地の子どもたちに、
10万ドル(1200万円)の緊急支援実施を決定。

イオンも27日に発表して、
公益財団法人イオンワンパーセントクラブが、
緊急復興支援金1000万円を、
在日ネパール連邦民主共和国大使館に寄付。
同時に、今日の4月28日から5月10日まで、
全国のイオングループの店舗・事業所7000カ所で、
緊急復興支援募金を実施する。

セブン&アイ・ホールディングスは今日、
グループ全1万8683店舗での、
店頭募金活動実施を発表。
実施期間4月28日~5月11日。

ユニー・グループ・ホールディングスも、
今日、店頭募金活動の発表。

こういった素早い意思決定をし、
多くの店で顧客とともに募金活動ができるのは、
チェーンストア・システムのおかげだ。

今からでも、遅くはない。

ネパール支援の輪を広げたい。

こんなこと、公言する内容ではないが、
私もすぐにWFPを通じて寄付した。

さて、今日は、
ゴールデンウィーク突入前日。

横浜商人舎オフィスでは、
月刊『商人舎』5月号の入稿に忙しい。

その商人舎オフィスに、
連載を書き続けている機関誌が届いた。
AJS Network。
DSCN2455-5
タイトルは、
スーパーマーケット応援団長の辛口時評。

私は毎回、かなり力を入れて、
時事問題を取り上げ、主張する。

今回はその第89回。
「丸久・マルミヤストア経営統合と
ベルク原島功の訃報」

オール日本スーパーマーケット協会の皆さん、
会員企業も賛助会員企業も、
ご愛読、お願いします。

協会もネパール支援のような活動、
協力し合って展開したらいい。

検討しているのでしょうが、
私、お節介。

さてさて、日経新聞の巻頭コラムは『春秋』
ルネ・デカルトの言葉を取り上げた。
「近代哲学の父」、
「我思う、ゆえに我あり」で有名。

フランスの哲学者・数学者。

一方、ブレーズ・パスカルも、
フランスの哲学者・数学者で、
「人間は考える葦である」が有名。

デカルトは1596年生まれの近代合理主義者、
パスカルは1923年生まれのキリスト教神学者。

だからパスカルはデカルトを、
激しく批判した。
「わたしはデカルトを許すことはできない。
彼はそのすべての哲学の中で、
できるものならば神なしで済ませたいと思っている。
彼は世界を動かすために神に爪を弾かせたが、
それは仕方なしにやったのであり、
そのあとは、神はもう用なしなのだ」
〈断章七七〉

日経新聞のコラムは、
デカルトの著『方法序説』から引用する。
岩波文庫版。

難問に際しては、
「よりよく解くために必要なだけの
小部分に分割すること」

この考え方は、
仕事の役に立つ。

「もっとも単純で
もっとも認識しやすいものから始めて、
少しずつ、階段を昇るように」

実に、いい。

『春秋』のコラムは、
現与党のめざす安全保障法制に、
デカルトの思考法から迫る。

しかし私たちの仕事に関してこそ、
「よりよく解くために必要なだけの
小部分に分割すること」は、
極めて有効だし、
「もっとも単純で、
もっとも認識しやすいものから始める」のは、
妥当である。

倉本長治は諭している。
「やさしいことから手をつけよ」

なぜか。
そのほうがやさしいから、
実現させやすいから。

「仕事の段取りとして
困難なことから手をつけるのは、
うまいとはいえない」

一方、ピーター・ドラッカーは、
倉本長治と共通することが非常に多いけれど、
「成果をあげるエグゼクティブは、
最も重要なことから始め、
しかも、一時に一つのことだけを行う」

「成果をあげるための秘訣を
ひとつだけ挙げるならば、
それは集中である」

ウォルマートの創業者サム・ウォルトンは、
「Think small!(小さく考えよ!)」が口癖。

そのために、
「Think one store at a time!」
つまり「1度に1店ごとに考えよ!」
1件ずつ検討せよ。

そしてこういった人たちと並べると、
まことに恐縮だが結城義晴は、
「ひとつずつ、
すこしずつ、
いっぽずつ」

そのうえで、
「小さく、狭く、濃く、深く」

しかしこうして見ると、
長治先生もドラカー先生も、
そしてウォルトンさんも、
デカルト的ですねぇ。
つまり近代合理主義的ですねぇ。

パスカルには批判されたけれど。

ネパール支援の復興事業には、
近代合理主義的に、
集中して取り組みたい。

〈結城義晴〉

「昭和は遠くなりにけり」と商人舎の〈情報とコミュニケーション〉

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昭和の日。
2015年のゴールデンウィークが、
始まった。

それにしても、
ほんとうにいい季節です。

昭和27年生まれの結城義晴。
昭和の日は国民の祝日として、
いつまで残されるのだろうかなどと、
考えてしまう。

大正の日や明治の日はないのだし。

日経新聞の巻頭コラム『春秋』だけが、
その昭和の日を題材にしてくれた。

朝日はアップル・ウォッチの話。
毎日は安倍首相訪米の話。

日経の『春秋』の出だし。
「昭和天皇は還暦を迎える1961年4月、
佐賀・長崎を旅した」

一昔前のメディアでは、
天皇の行動に関して、
「旅した」とは書かなかった。

「旅された」
敬語を使った。

それだけ、昭和は遠くなりにけり。
まあ、いい。

その時に、昭和天皇は歌を詠まれた。
コラムの表現は「この旅での歌がある」。
まあ、いい。

霞立つ春のそらにはめづらしく
雪ののこれる富士の山見つ
DSCN2125-5

「歴代天皇も詠んだ富士には
格別の思いがあったらしい。
山の歌は数多いが、群を抜いている。
歌会始や電車内での詠もある。
すでに少年時代に、絵も描いていた。
海を前景に山容を
色鉛筆で写生した絵が残っている」
こうなってくると、
まあ、いい、とは言えない。

私も若い頃には左翼かぶれで、
天皇を軽んじる発言をしたこともある。

しかし今、還暦を超え、
象徴天皇の位置づけこそ、
最適だと考えつつ、
その表現には、
丁寧語や尊敬語を使いたいと思う。

私なら、こう、書く。
「歴代天皇も詠まれた富士には
格別の思いをお持ちだった。
山の歌は数多い。
しかし、群を抜く出来栄えである。
歌会始や電車内での詠も残る。
すでに少年時代、絵も描かれた。
海を前景に山容を色鉛筆で写生した絵が
残されている」

コラムのまとめ。
「天皇の歌からは
平和への思いが聞こえる。
戦後70年、
戦禍と繁栄の昭和は遠ざかる。
変わらぬ山の姿に、
平成の日本人は
どんな心情を重ねていくだろうか」

昭和は遠くなりにけり。

ちなみに、蛇足ながら、
この表現は、転用。
降る雪や明治は遠くなりにけり 
中村草田男の句。
高濱虚子の弟子で、
人間探求派の俳人。

さて、昨日の商人舎magazine、
Daily商人舎は、
クローガーが
CRM企業ダンハンビーUSAを

完全買収して84.51°設立

読んでみてください。

商人舎magazineや月刊『商人舎』は、
客観的に雑誌スタイルの書き方をする。
「情報」という考え方。

商人舎ホームページの「毎日更新宣言」は、
感情を込めてブログスタイルの書き方。
「コミュニケーション」の意図がある。

ドラッカー先生は説明する。
コミュニケーションと情報は、
別物であるが、依存関係にある。

コミュニケーションは知覚の対象であり、
情報は論理の対象である。

情報はコミュニケーションを前提とするが、
コミュニケーションは必ずしも、
情報を必要としない。

情報は、人間的な属性を除去すればするほど、
有効となり、信頼度も高まる。

情報が多くなるほど、
コミュニケーション・ギャップは、
縮小するどころか、かえって拡大する。

情報が多くなるほど、
効果的機能的なコミュニケーションが
必要になる。

商人舎magazineと、
毎日更新宣言ブログ、
両方読んでくださると、
いいと思う。

もちろん月刊『商人舎』を、
購読して、商人舎magazineのIDを、
持ってもらいたい。
5人ひと組で会員になることを、
お薦めする。

さてクローガーの45四半期。
既存店がずっと増収。
四半期は1年の4分の1、
13週、約3カ月。
だから45四半期は、
10年と約3カ月。

すごい企業です。

そのクローガーは、
55%の店舗が、
ウォルマートと直接競合している。

その上で10年と3カ月、
既存店増収。

つまりウォルマートに負けていない。
多くの店でウォルマートに勝っている。

そのクローガーの、
11年前からの快進撃を支えるのは、
12年前に誕生したダンハンビーUSAだ。

イギリスのテスコのFSPの子会社が、
ダンハンビー社。
ダンさんとハンビーさんが、
共同で興したマーケティング会社。

FSPは、
フリークエント・ショッパーズ・プログラム。

ID‐POSデータを駆使して、
スーパーマーケットの営業活動を支援する。

クローガーはそのダンハンビーUSAを、
専属にすべく、テスコから買い取って、
「84.51°」という会社を設立した。

なぜ、こんなへんな社名か。
それは商人舎magazineを読んでください。

重要なことは、
「価格」も大事だが、
価格以外のところで、
クローガーらしいポジショニングを構築し、
ウォルマートとの違いを出すこと、
そのことにこの「84.51°」が大貢献するということ。

商人舎magazineは「情報」、
毎日更新宣言はコミュニケーション。

わかってほしい。

しかし商人舎magazineも、
他のマスコミや専門雑誌と比べると、
ずっとずっとコミュニケーションです。

もちろん毎日更新宣言ブログでは、
天皇陛下に対して、すくなくとも、
敬語を使わせていただきます。

〈結城義晴〉

安倍首相の米議会演説と似鳥昭雄さんの「私の履歴書」最終回

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2015年4月最後の日。
しかし今年も3分の1が終わった。

4月の商人舎標語は、
「世間良し、天も良し」だった。

近江商人の「三方良し」のごとく、
仕事を続けられただろうか。
「三方良し」で、
ゴールデンウィークの準備を、
整えることができただろうか。

出来たとしても、
できなかったとしても、
まだまだ、遅くはない。

ホップ・ステップ、そして、
最後のジャンプが残っている。

訪米中の安倍晋三首相。
アメリカ合衆国議会に出席。
その上下両院合同会議で、
日本の首相として初めて演説。

英語で約45分。
その中のキーワードは、
“deep remorse over the war”

戦後70年を経た今、
「あの戦争への深い反省」とでも訳す。

日経新聞ワシントン特派員の芦塚智子さん。
安倍首相の英語表現を整理した。
「remorse」と「repentance」を、
使い分けた、と。

「remorse」は「反省」、
「repentance」は「悔悟」、
と、外務省は訳す。

どちらも、「regret(後悔、遺憾)」よりも、
謝罪のニュアンスが強いが、
「remorse」よりも、
「repentance」が強い。

regret<remorse<repentanceか。

問題の1995年当時の「村山談話」にも、
実は「deep remorse」が使われた。

しかし今回、真珠湾攻撃などには、
「deep repentance」が選ばれた。

アジアには「remorse」、
アメリカには「repentance」。
そして村山談話と同じ。

ほどよいさじ加減で、
英語通だった故宮沢喜一元総理も、
納得してくれるだろう。

一方、バラク・オバマ大統領。
ホワイトハウスの夕食会で一句。
春緑 日米友好 和やかに
Spring,green and friendship
United States and Japan
Nagoyaka ni.

昨日のブログの昭和天皇の短歌には、
比べようもないけれど、
それでもこのセンス、実にいい。

さて、日経新聞の巻頭コラム『春秋』
酒の安売り規制法案。
自民党の議員立法について、チクリ。
「買うのは町の酒販店より
安いスーパーや量販店、
あるいはネット通販という時代」

これは業種店の「酒販店」と、
業種発想の「量販店」の構図を言っている。

「安売りをやめさせるために
新たな基準をつくり、
守らない業者の名を公表したり
罰金を科したり、
最後には免許取り消しに――」
なんだか「スーパーや量販店」が、
いじめに遭っているようだ。

安倍首相が演説で反省した戦時中の、
「統制経済」の言葉を思い出す。

そして、
「消費者利益は二の次の業界対策」

「こうまでして酒販店を保護しても、
客足が戻るのかどうか」

戻りはしない。

さてさて、4月の終わりに、
日経新聞『私の履歴書』
似鳥昭雄の巻も最終回。
ニトリホールディングス社長の、
大反響連載だった。

最終回は故渥美俊一先生への感謝に終始した。

その中で渥美先生の指導。
1989年、バブル崩壊前に、
「株式の扱いについて相談」した。

「必ずもめるから、株式公開前に
新しい会社を作れ」
これは会社が成長した段階での、
親族との相続問題の話。

事実、似鳥さんも、
札幌地裁の第二審までもつれて、
それでもなんとか和解。

渥美先生の指導を聞かなかったことを、
「一生の不覚だ」と反省。

そして述懐する。

「渥美先生なしでは
私の成功はなかった」
IMG_5664

15年2月期連結売上高は4172億円、
経常利益680億円、
時価総額は1兆円超。

しかし似鳥さん自身が、
連載の中で語ったように、
渥美先生の指導は、
「成功するか失敗するか、
二つに一つだった」

そして似鳥さんは、
見事に成功の側に回った。

その秘訣は、どうやら、
何度も「一生の不覚」を負ってしまっても、
そこから立ち直る反骨精神にあるようだ。

そしてその原動力は、
この連載でも異彩を放っていた、
似鳥昭雄の子供時代にあった。

最後の決意表明は、
「前例のないことをやってみたい。
人生は冒険であり、
アドベンチャーだ」

連載の終わり方が、
これも似鳥さんらしくて、いい。
「品のない過去の行為に
批判があったことも承知している。
それもひっくるめて
私の半生にお付き合いいただき、
感謝するばかりだ」

私も、似鳥さんに感謝。

これまでにない、
素晴らしい『私の履歴書』だった。

日本の商業、小売業、
そしてチェーンストアの代表として、
私たちはずっと、誇りにしたい。

〈結城義晴〉

5月の標語「経営品質を現場で高めよう!」と「二つに一つ」の決断

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5月に入って、1日です。
それにしてもいい季節。

そのいい季節に、
朝、届き物。

伊藤園の江島祥仁副会長から、
今年の新茶。
DSCN2471-5
伊藤園の決算は4月末日で、
今日から新年度。

その日に、看板商品の新茶が、
届けられる。
DSCN2472-5
これ以上ない気分。

ありがたい。

さてゴールデンウィーク期間真っ只中。
今日は、メーデーの日。
労働者の日。

そして明日から5連休。

先々週が準備期間のホップ、
先週がステップ、
そして来週にかけての5連休がジャンプ。

最後のジャンプの瞬間という、
緊張したタイミングの時か。

その緊張感がたまらない。

5月に入ったので、
商人舎標語。
月刊『商人舎』5月号の巻頭メッセージと、
連動している。

経営品質を現場で高めよう!

長い目で見れば必ず、
消費は高度化していく。
高度化とは、まず高級化、そして個性化、
多様化、無形財化などなど。

最近のアベノミクスによる経済復活。
その恩恵に浴するからだけでなく、
人間の営みの法則として、
消費は高度化、高級化していく。

しかし消費は高度化するにも関わらず、
「高級スーパー」と呼ばれる企業群は、
その経営数値を見ても店頭を訪れても、
旗色がよろしくない。

ただしどんな世界にも例外はある。
首都圏と関西圏の2社。
西の阪急オアシス、
東の成城石井。

なぜ、彼らは好調なのか。
なぜ、ここにイノベーションが起こっているのか。
そして、なぜ、他の高級スーパーは、
芳しい成果を上げることができないのか。

ひとつには信用とブランド。
ひとつには商品。
ひとつには出店と店づくり。
そしてひとつには人材と教育。

しかしこれは、考えてみると、
小売業経営の本質そのものだ。
スーパーマーケットのマネジメント原則であり、
チェーンストアのシステム原理である。

阪食会長・千野和利は確信を述べる。
「企業を高質化していく」
成城石井社長・原昭彦は熱い。
「お客さまを信頼し続けないといけない」

高質スーパーマーケットとは、
実は「経営の高質化」なのである。
その証拠に「経営の高級化」は、
誰も口にはしない。

企業風土や企業文化が醸成され、
次々に知識商人が養成されていく。
その結果として経営の質が高められていく。
ここに高質スーパーマーケットの本質があるのだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そう、5月号は、
阪食と成城石井を、
徹底的に取材し、
その共通項を探し出した。

そして極めて興味深い事実に遭遇して、
あるセオリーを発見した。

私の巻頭論文は、
ちょっと自信があります。

2011年の2月末から3月初旬。
そう、あの東日本大震災が起こる直前、
私はアメリカを訪れた。

これは先日も書いたけれど、
クォリティ&サービス型スーパーマーケットの、
研究のための研修会。

ご一緒したのは、
㈱阪食の千野和利さん、
㈱ハローデイ社長の加治敬通さん
㈱サンシャインチェーン本部の川崎博道さん、

㈱エブリイの岡崎雅廣さん。

そうそうたるメンバー。

各社の幹部の皆さんも交えて30人弱の、
とても印象深い旅だった。
20110304140554.jpg

その後、東日本大震災が来て、
日本中が落ち込んでしまったけれど。

それから4年。

阪食はデフレ基調の中でも、
ずっと増収増益を果たした。
さらにこの4社の中では、
後発だったエブリイが、
追いつけ追い越せと躍進を遂げた。

もちろんハローデイも、
サンシャインチェーンも、
実力のある企業だから、
黙々と進化を遂げつつ、
この4社は連携して、
果実を手にしてきた。

その実りつつある果肉を、
月刊『商人舎』5月号は、
阪食の側面から整理した。

同時に成城石井からは、
原昭彦社長と服部吉宏商品本部長に、
たっぷり3時間も話してもらって、
こちらもすごい内容になった。

発行は5月11日。

楽しみにしていただきたい。

さて今日のDaily商人舎は、
消費増税反動減1年後の4月、
絶好調と絶不調の明暗

面白いと言っては、
絶不調組に申し訳ないが。

最後に面白い話。
『ほぼ日刊イトイ新聞』の巻頭コラム。
糸井重里さんが書く。

その昨日のメッセージ。
「ふたつにひとつ」

「サイコロを振ったときに、
特定の目が出る確率は
6分の1だということは知っている。
だから、いくら念じて振っても
例えば3の目が出る確率は
6分の1なのだ」

しかしいかにも糸井さんらしく、
発想の転換を図る。
「5の目が出るのか、出ないのか」
と、考えてみる。

「正しい確率としては、
出るが0.167で、
出ないが0.833だ」

しかししかし、
「出るか、出ないか」で考えたら、
「5の目がでることと、
5以外の目が出ることは、
『ふたつにひとつ』ということなのだ」

「その目が出るか、出ないか‥‥」

糸井さんはこれまで、
強気に言い張っていたらしい。
「ふたつにひとつの
どちらかが出るんだから、
確率2分の1だよ」

もちろんジョーク半分。

「打率3割の打者が
チャンスに打席に入ったとき、
見るのは、打つか打たないか」

「ふたつにひとつ」

「3割打者とは、
7割は凡打で退く選手のことなのに、
選手たちも、観客も、試合に関わるものは、
みんな『ふたつにひとつ』を見ている」

これは仕事についても当てはまる。

「かなり厳しい条件のなかで
スタートさせることがある。
確率をどれだけ上げて
慎重に準備したつもりでも、
冒険的に意気込みで
走り出したという場合でも、
成功するかしないかは、
『ふたつにひとつ』なのだ」

昨日までの日経新聞『私の履歴書』
まだ余韻が残っている。
似鳥昭雄さん。
ニトリホールディングス社長。

いつもいつも、
「ふたつにひとつ」で、
意思決定してきた。

大いに失敗した。
しかし最後は大きな成果を上げた。
いや、まだもっと大きな成果を、
似鳥さんは志す。

それが痛快だった。

糸井重里も言う。
「ほんとうの数字的な
確率ばかりを追っていると、
『まだやれない』とか
『リスクがある』とか判断して、
『行く』のが怖くなってしまう」

そして決めの言葉。
「『判断』をいくつしても
『決断』にはならない」

似鳥さんに捧げたんでしょうかね。
糸井さんは。

季節はいい。
新茶の季節の5月も、
決断し続けよう。

現場から経営品質を高めつつ。

〈結城義晴〉


「配偶者控除」見直しと「103万円の壁」、そして「パスカルの壁」

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朝日新聞の『天声人語』に、
今枝貞代さんの一句。
富士晴れて裾野茶摘みの一斉に

昨日、伊藤園副会長の江島祥仁さんから、
お送りいただいた新茶。
DSCN2472-5

いい季節です。

さて日経新聞一面トップに、
「配偶者控除、17年に新制度」

日経のスクープか?
やっと動き出してくれた。

偶然にも月刊『プレジデント』は、
「金持ち夫婦 ビンボー夫婦」の特集。
このタイトルは露骨で、
まったく、いただけない。

安倍内閣が、所得税改革の一環として、
2017年をめどに、
「配偶者控除」の見直しをする。

検討段階だけれど。

「103万円の壁」が、
働く妻の就労に制限を与えている。

妻の年収が103万円以下なら、
夫の課税所得から、
38万円の控除が受けられる制度。

なんと約1400万人に適用されている。

妻がフルタイムで働く世帯にも、
一律に適用される。

現在は、控除枠を超えないようにするために、
就労時間を抑えている。

こんなつまらない制度、
改正は、もっと早くしておくべきだった。

適用対象者は、
現在よりも大幅に増える見込みだ。

この6月に政府は、
経済財政運営と「骨太の方針」に、
方向性を明記する。
それをもとに、
政府税調が具体案を詰める。
さらに来年1月召集の通常国会で、
関連法案を成立させ、
再来年の2017年1月から新制度導入。

こんな段取りと見通し。

今の絶対多数の与党なら、
この見通し通りになるだろう。

パートタイマーの人たちの、
就労環境が変わる。

小売サービス業の現場は、
ますます働く女性たちを中心に、
運営されることになる。

今から、準備に入るのがいい。

「働くこと」

「働くこと」への
深い理解が求められている。

働くことの中身。
働くことの実態。
働くことの動機。
働くことの目的。
そして働くことの喜び。

どんな環境の中で働くか。
どんな時間帯に働くか。
どんな制度の中で働くか。
どんな会社で働くか。
そこからどんな働き甲斐が生まれてくるのか。

私たちは誰もが、このことに対して、
自分なりの回答を
用意しておかねばならない。
それなくしては、
企業活動も、
組織運営も、
日常生活もまっとうできない。

経営者は従業員に、
上司は部下に、
会社はパートタイマーに、
明快な「働くこと」の
意味を示さねばならない。

そして従業員は経営者に、
部下は上司に、
パートタイマーは会社に、
同じように明快な「働くこと」の
意思を伝えねばならない。

「働くこと」を通じた意思疎通は、
「労働」への
深く、謙虚な理解から
生み出されるのである。
〈結城義晴著『message』より〉

さて、ローソンの上に月。DSCN2473-5

月に叢雲。
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満月のちょっと手前の月。
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月を見ながら、
土曜日の『パンセ』。
グレーズ・パスカルの言葉。
1923年に生まれ、1962年に没した。
フランスの科学者・哲学者。

『パンセ抄』は、
鹿島茂編訳、飛鳥新社刊。
2012年7月14日第一刷発刊。

7月14日はパリ祭の日。
1789年のこの日、
バスチーユ監獄が襲撃され、
フランス革命が始まった。

フランスはパリ祭を、
建国の日としている。
この本の発刊日、
洒落ている。

このところ、土曜日には、
『パンセ』の言葉を紹介している。

「わたしたちの本性は
運動のうちにある。
完全な静止は死でしかない」
〈断章一二九〉

仕事は運動だ。
それを止めると死が待っている。

ゴールデンウィーク、
目いっぱい生を楽しみたい。

「取るにたりないことが
わたしたちを塞ぎ込ませるのと同じ理由で、
取るにたりないことが
わたしたちの慰めとなる」
〈断章一三六〉

「どんなものも、
わたしたちに役立つものでさえ、
わたしたちにとって
命取りになりかねない。
自然の中において、
壁がわたしたちを殺すことがある。
また、階段も、
わたしたちがそれを踏み外せば、
わたしたちを殺す」

「どれほどわずかな運動も
自然全体に影響を及ぼす。
大海原も石ころ一つで変化する」

『パスカルの定理』は、
16歳のときにパスカルが発見した、
円錐曲線に関する定理。
圧力の単位「ヘクトパスカル」に名を残す。

「恩恵の世界においても、
ごくささいな行為が、
あらゆるものに影響を与え、
大きな結果を引き起こす。
だから、どんなものも重要なのだ」

サム・ウォルトン。
「Retail is Detail」
小売りの神は細部に宿る。

「どんな行為においても、
行為そのもののほかにも、
わたしたちの現在と
過去と未来の状態をしっかり見極め、
それが影響を及ぼすであろう他の状態も調べ、
これらすべてのものの
関係を見なければならない。
そうなると、人は非常に
慎重にならざるをえない」
〈断章五〇五〉

これはパスカルの、
科学者としての態度であると同時に、
哲学者の態度だ。

だから「パスカルの定理」が生まれ、
ヘクトパスカルとして、
現在も使われている。

これは、
ピーター・ドラッカーに通じる態度である。

そしてこれは、
現代の研究者の態度であるし、
「働くこと」を見極めるときの態度でもある。

トップマネジメントもマネジャーも、
学者もジャーナリストもコンサルタントも、
基本的にこの態度でなければならない。

つまり「思いつき」ではいけない。
「思いつき」を次々に指示しては、
なおさらいけない。

「非常に慎重」でなければいけない。

「配偶者控除の改正」にも、
この態度で臨んでほしいものだ。

〈結城義晴〉

ジジとゴールデンウィーク[日曜版2015vol18]

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ジジです。
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ゴールデンウィークは、
ヨシハルおとうさんといっしょ。

ちょっと、うれしい。

おうちのなかも、
あかるい。
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ベランダも。
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ほらね?
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お花もさいた。
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これも。
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これがいい。
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そとは、もっともっと。
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いい季節です。
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新緑。
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緑が濃くなる。
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そしてツツジの花。
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まっさかり。
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二丁目公園です。
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ゴールでウィークは、
おとうさんといっしょ。
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それでも、すぐに、
日がくれる。
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とても、うれしいけれど、
とても、かなしい。
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でも、ありがとう。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

憲法記念日・みどりの日と吉野家の「吉呑み」好調の捉え方

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Everybody! Good Monday!
[2015vol18]

2015年第19週。
5月の第2週で、
ゴールデンウィーク真っ只中。

昨日5月3日が憲法記念日。
今日5月4日はみどりの日。
明日5月5日がこどもの日。
明後日は振替休日。

憲法記念日の趣旨は、
「日本国憲法の施行を記念し、
国の成長を期する」こと。

その憲法とは、
「国民の権利・自由を守るために、
国がやってはいけないこと、
またはやるべきことについて、
国民が定めた決まり」
〈日本弁護士連合会〉

国と国民との関係の基本が、
決められた最高法規。

護憲派と改憲派。

私は自らこの場でそれを、
明らかにするつもりはないが、
国民自身がそれを、
自ら決めるべきことは明白だ。

それには国民が憲法を、
もっともっとよく知らねばならない。

憲法記念日は、
そのためにある。

そして今日、
みどりの日。
なんとも中途半端な祝日だが、
その趣旨は、
「自然にしたしむとともに
その恩恵に感謝し、
豊かな心をはぐくむ」こと。
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空はもう、真夏。
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薔薇の花が美しい。
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華やか、艶やかだ。
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これもいい。
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店で働く人たちは、
自然に親しむこともできないだろうが、
「その恩恵に感謝し、
豊かな心を育むことはできる」

さらに今日のみどりの日に、
自然に親しむことができなくとも、
4月15日から5月14日は、
みどりの月間。

その間に自然に親しむことはできる。

5月はそんな月だ。

さて日経新聞の『経営の視点』
タイトルは「牛丼、脱デフレに苦闘」
サブタイトルは、
「吉野家がつかんだヒント」
こちらがこの記事の本当の趣旨。
中村直文さんが書く。
流通やサービスに強い編集委員。

ちょっと言いたいことがあるので、
私も一言。

昨2014年12月に、
並盛りを値上げした吉野家。
1~3月の来店客数は20%近くのマイナス。

4月15日に値上げしたすき家。
ゼンショーホールディングスの牛丼チェーン。
「商品設計を見直した戦略的価格改定」だが、
こちらも低迷。

しかし牛丼値上げは納得が得られずとも、
やや高めの「すき鍋」は好調。
吉野家のヒット商品が「牛すき鍋膳」

このメニューは当初、
「60歳以上の利用者は10%程度」の見込み。
しかし「ふたを開けると35%に達していた」

ピーター・ドラッカー先生の言う、
「予期せぬ成果」
ここにイノベーションの芽があった。

吉野家はもともと、
「若者やサラリーマン層」が主客層だった。
それが「すっかりシニア化していた」

吉野家の門脇純孝専務。
「牛丼一本足の時代ではない」

そこで、年齢層、時間帯など、
「幅広い視点から市場を開拓」

それが「吉呑み」

吉野家で居酒屋サービスを提供。
狙いは、夜の時間帯を活性化。
この時間帯は客足が落ちていた。

現在、150店で実施。
3月時点の国内吉野家は1180店だから、
約13%の店で展開中。

メニューの中心は100円台、200円台。
「ちょい飲みにはぴったり」

中村編集委員が、
4月28日に東京・神田の店で取材すると、
シニア層を中心にごった返し、満席。

1人当たりの平均利用料金は、
2000円未満。

「うまい、早い、安い」で、
居酒屋の顧客を奪う。

昨年度、ワタミは上場初の赤字だった。
居酒屋チェーンの苦戦は続く。

しかし吉野家の「吉呑み」は好調。

中村さんは、ここで、
セブン-イレブンの客層変化に触れる。
50代以上の利用者は
「30年前の85年で9%、95年が12%、
最新データの2013年は30%」

一方、20代以下は、
「85年は64%、95年は57%、
13年には29%」

2000年代、セブン-イレブンは、
「既存店の苦戦が目立った」

しかしセブンは、
「変化への対応を強め、
再び成長力を備えた」

ユニクロや東京ディズニーランドは、
「10代からシニア層まで幅広い年齢層に
同じような商品サービスを提供し、成長」
これはユニクロとディズニーランドが、
客層が広い、という話。

中村さんの結論。
「逆風下でも強みを生かし」、
「ボーダーレスの競争力が欠かせない」

吉野家の吉呑みは、
強みを生かし、その上で若者から、
シニアにターゲットを広げた、
と、中村さんは考えるのか。

いや、文脈から読むと、
もともとの若者やサラリーマンが、
シニアに高齢化してしまった。

そのずっと吉野家のファンだった客たちに、
吉呑みは新しいサービスを提供した。

そう見るほうが自然だ。

これはボーダレス競争力ではなく、
STPマーケティングではないか。

この記事を読んで、
私はそう考えた。

セグメンテーション、
ターゲティング、
ポジショニング。

「吉呑み」の好調が、
いつまで続くかは、わからない。

吉野家はできるだけ早く、
1180の全店で展開すべきだろう。

それをワタミやコロワイドが真似ても、
吉呑みほどの成果は上げられまい。

もちろんすき家も。

どんな店にも、
ターゲット客層は、
いつも不満を感じている。

セブン-イレブンは、
コンビニエンスストアの機能を、
さらにさらに充実させてきた。

ユニクロもディズニーも。

自分の客層に対して、
どこよりもとんがってきた。

それが結果として、
客層を広げてきたのだ。

2015ゴールデンウィークも、
最終局面に入ってきた。

自分の顧客をしっかり見定めて、
最後の踏ん張りを期待したい。

では、みなさん。
Good Monday!

〈結城義晴〉

こどもの日の随想――菖蒲湯と「鯉のぼり」とまど・みちお「一つぶよ」

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5月5日、こどもの日。
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菖蒲湯に入る。

冬至の柚湯に対して、
端午の節句の菖蒲湯。

精油成分が含まれていると言われる。
いわゆるエッセンシャルオイルの成分。
成分名はアサロン、オイゲノール。

しかし端午の節句に、菖蒲湯。
その気分だけで、癒される。

そして伊藤園の新茶をいただく。
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何度も書くが、
江島祥仁副会長からの贈り物。
ありがたい。

昼間は、5番ホールで、
バーディパットを決め・・・・。
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夜は実家で、
月を楽しむ。
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横浜の夜景。
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ひな祭りの歌は、
明かりをつけましょぼんぼりに♫

しかし、こどもの日には、
鯉のぼり。

私がまず口ずさむのは、
(いらか)の波と雲の波
重なる波の中空(なかぞら)
(たちばな)かおる朝風に
高く泳ぐや鯉のぼり
作曲は弘田龍太郎で、作詞は不詳。

二番、三番もある。

開ける広き其(そ)の口に
舟をも呑まん様見えて
ゆたかに振う尾鰭(おひれ)には
物に動ぜぬ姿あり

百瀬(ももせ)の滝を登りなば
(たちま)ち竜になりぬべき
わが身に似よや男子(おのこご)
空に躍るや鯉のぼり

こちらは覚えてはいないから、
にわかには歌えないが、
なかなか、勇ましくて、
よろしい。

しかし今、一般的なのは、
近藤宮子作詞の小学唱歌。

やねよりたかい こいのぼり
おおきいまごいは おとおさん
ちいさいひごいは こどもたち
おもしろそうに およいでる

どちらの唱歌も七五調で、
リズムがいい。

近藤作の「こいのぼり」は、
しっかりと歌うことができる。

何しろ結城義晴は、
元早稲田大学童謡研究会幹事長。

初代顧問はあの西條八十先生。

日経新聞の巻頭コラム『春秋』は、
こどもの日だけに、昆虫を話題にした。

ウルトラマンの好敵手「バルタン星人」、
ゴジラと戦いを繰り広げた「モスラ」、
そして「仮面ライダー」。
みんな昆虫だ。

ちなみに映画「ゴジラ」のプロデューサーは、
富山省吾さん。

学生時代に、
年間200本の映画を見ていた。
童謡研究会にもときどき顔を出してくれた。
そして東宝に新卒入社し、
映画プロデューサーになった。
初志貫徹の人。

懐かしい。

『春秋』は「ジャポニカ学習帳」の表紙から、
「昆虫の姿がす でに消えていた」と指摘。

親や教師から苦情が寄せられた。
「虫は気持ちが悪い」

「まさに昆虫たちが、
平和をかき乱す怪物のように思わ れている」

学習帳こそ、たとえ、
「気持ち悪い」と言われようと、
それを載せるべき。

ジャン・アンリ・ファーブルが悲しんでいる。
北杜夫は号泣するだろう。
まど・みちおは無表情だろう。

その、まど・みちおの「アリ」。

アリを見ると
アリに たいして
なんとなく
もうしわけ ありません
みたいなことに なる

いのちの 大きさは
だれだって
おんなじなのに
こっちは そのいれものだけが
こんなに
ばかでっかくって・・・
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「一つぶよ」

ぼくらの まえへと つづき
そして うしろへと つづく
えいえんの じかん

ぼくらの そとがわへと ひろがり
そして うちがわへと ちぢまる
むげんの うちゅう

きりがない はてがない さいげんがない
どこまでも どこまでも どこまでも
の なかの ぼくらよ 一つぶよ

と おもうことだけは でき
それだけしか できないのだとしても
その それだけよ 一つぶよ 
(まど・みちお『いわずにおれない』より)

2015ゴールデンウィークも、
ラストスパート。

しずかに、
しかし、しっかりと、
ゴールを迎えたい。

〈結城義晴〉

「勝ったチームは強くなる」と結城義晴「一番の人気」

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5月6日、振替休日。
しかし「振替休日」は法律用語ではない。
通称。

では、今日の休日は、
どの祝日の振替なのか。

どこかのテレビ番組で、
クイズ問題にでもしてないかな?

「国民の祝日に関する法律」、
これも通称は「祝日法」。

その祝日法の第3条第2項の規定。
「『国民の祝日』が日曜日に当たるときは、
その日後においてその日に最も近い
『国民の祝日』でない日を休日とする」

今年の場合、日曜日は、
憲法記念日だった。

それが「日曜日に当たる」から、
「その日後においてその日に最も近い
『国民の祝日』でない日」が振替の日。

日曜の建国記念日の次の月曜が、
みどりの日の祝日。
さらに火曜はこどもの日の祝日。
従って今日の水曜は、
憲法記念日の振替休日。

だから、みんな今日の休日は、
憲法記念日に感謝しなければいけない。
商売繁盛も憲法記念日に感謝する。

そして今一度、
憲法を考える。

それが今日だが、
今日は「立夏」でもある。

日経新聞の巻頭コラム『春秋』が、
立夏を取り上げた。

「いつのまにか立夏である。
気がつくと新緑の中にいる。
芽吹いた木々が日に日に葉を広げて、
領土を拡張していく。
柔らかな新樹の茂りが
パソコンで疲れた目に優しい」

やや文学的表現か。

ここで松尾芭蕉の句。
あらたふと青葉若葉の日の光
「あらたふと」は、
「あら」と「たふとし」。
「ああ、尊いことだ」といった意味。
青葉若葉は今の季節。
「日の光」は読んで字の如き「太陽の光」と、
地名の「日光」の掛け言葉。

芭蕉も『笑点の大喜利』のような掛け言葉を、
俳句に使う。

俳句の翻訳は全く味気ないけれど、
あえて試みれば、こうなる。
「この日光の霊山の青葉若葉に、
太陽の日が神々しく降り注ぐ。
ああ、尊いことだなあ」

さて、巻頭コラムが取り上げた「立夏」。
私は二十四節気を、
とても重要視している。

なんというか、商売に都合がいい。

1年は12カ月。
二十四節気は、
その2倍の24の節目。

1カ月を上旬、中旬、下旬とするのも、
もちろんウィークリーに52週とするのも、
これはマネジメントとオペレーションに都合がいいが、
二十四節気を加えて季節感を織り込むと、
商売に彩りがついて、なおさら都合がいい。

特に重要なのが「八節」。
夏至と冬至を「二至」、
春分と秋分を「二分」、
これらをまとめて「二至二分」という。

わかりやすい。

その春分と夏至の真ん中に、
「立夏」が用意されている。

春が終わり、夏が立つ。
この、「夏が立つ」がとてもいい。

それから夏至になる。

つまり、今日。
今日は春分と夏至の真ん中。

夏至と秋分の真ん中が立秋、
秋分と冬至の真ん中が立冬、
冬至と春分の真ん中が立春。

立春・立夏・立秋・立冬を「四立」とまとめ、
先の「二至二分」と「四立」を併せて、
「八節」という。

理路整然としていて、
私は大好きだ。

そして都合がいい。
商売の色づけ、
季節感を演出するのにもってこいだ。

商人舎magazineでは、
5月号から新Monthly連載がスタートする。
関智美のマーケティング・アイ
「二十四節気と現代人の生活行動」
私のこういった問題意識がベースにある。

ご期待いただきたい。

さてさて日経新聞スポーツ欄。
『フットボールの熱源』
サッカー担当記者の吉田誠一さんが書くのが、
「勝ったチームは強くなる」

「プロサッカーの世界の栄冠は
資金力がないと手にできない」

会計監査法人のデロイトは、
サッカークラブの営業収益を集計して、
「フットボール・マネー・リーグ」と称する。

今季の欧州チャンピオンズ・リーグ(CL)の4強、
すべて昨季のマネーリーグのトップ10。

レアル・マドリードとFCバルセロナは、
どちらもスペインの花形チーム。
それにドイツのバイエルン・ミュンヘン。
この3チームは、
マネーリーグのトップ5常連。

記者は言う。
「資金があるから勝ち続ける」

レアル・マドリードは、
欧州CLで10度目の優勝、
そして10年連続マネーリーグのトップ。
エースは クリスティアーノ・ロナウド、
ドイツの トニ・クロース
フランスの カリム・ベンゼマ、
コロンビアの ハメス・ロドリゲス。
すごい選手がずらりと揃う。

営業収益は約5億5000万ユーロ、
約737億円。

日本のJ1全18クラブの営業収益は、
総計約550億円。

サッカー業界の常套句。
「強いチームが勝つとは限らない」

良いサッカーをしたチームが敗れると、
この常套句が使われる。

しかしそれに反対するリアリズムの声。
「勝ったチームが強いのだ」

ここで吉田記者。
「勝ったチームはより稼ぎ、
その分で補強が可能となり、
また勝つ可能性が高くなる」

これは商売の競争原理そのまま。

勝った企業はより稼ぎ、
その分で再投資が可能となり、
また勝つ可能性が高くなる。

吉田記者。
「勝ったチームが強い。
それだけでなく、
勝ったチームはまた強くなる」

つまり、勝った企業が強い。
それだけでなく、
勝った企業はまた強くなる。

勝利が先か、
投資が先か。

それには吉田記者、
触れていない。

しかし商売は、
まず客数。

顧客の人気が高いと、
売上げが上がる。
売上げが上がると、
よほどのミスをしない限り、
利益が伴う。
その利益を顧客のために投資する。
店舗のリニューアル、
商品開発と売り場の改善、
人材の教育・育成。
そうするとますます、
顧客の人気が高まる。
顧客の人気が高まると、
売上げが上がり、利益が増え、
再投資が可能になる。

「勝ったチームは強くなる」
「勝った店は強くなる」

これだけは紛れもない真実。

そこで最後に、
『message』より結城義晴の言葉。
「一番の人気」

あなたの店が、
繁盛しているとする。

売上高の半分は、
実力なのだろう。

しかし、あとの半分は、
人気によるものだ。

人気とは、一番の者に
与えられる特権である。

あなたの店が
不振だとしよう。

不振の半分は、
店の実力による。

しかしあとの半分は、
人気がないからだ。

二番手、三番手、
四番手だからである。

では、
一番の人気は、
なぜ獲得できたのか。

そして一番の人気は、
どんなときに
逆転するものなのか。

何も競争がない時代。

すばやく時流をとらえた者が、
まず人気を博する。

人気は実力に決定的な影響を与え、
実力はどんどん向上する。

追いかける者がいくら努力しても、
この実力差は詰まらない。

どんなに消費が
冷え込んだときにも

どんなに営業不振が
蔓延しているときにも

一番人気の店は密かに
客の支持を伸ばしている。

二番手以下は
急激に落ち込む。

ただし、追う者の強みというものもある。
紙一重の差までは、
努力しだいで到達することができる。

しかし、この紙一重の差が大きい。
だから、そこから先は運に
めぐまれるしかないのかもしれない。

たいていの場合、幸運とは、
神から与えられるものでも、
自分で勝ちとるものでもない。

相手に恵んでもらうものである。
人気も、敵の過失によって、
ころがり込んでくるものなのだ。

人気を維持すること。
逆転すること。

それができるのは、
謙虚に、
実力と人気の力関係を
知る者だけである。

ここでいう〈人気〉とは、
〈人間性〉です。
組織全体の〈人間性〉です。

〈結城義晴〉

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